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    だが、その間にも土手の押問答はつゞけられた。

    練吉は一人で感心し、それでも足りないと見えて、房一に呼びかけた。

    「小倉組の連中が来たちふぢやないかね。ほんとうかね」

    房一は怒つたやうな嘲あざけるやうな調子であつた。その顔は何故か黒ずんで見えた。そして、目がぎらついていた。

    正文はそれきり黙つた。だが、練吉の妻はまだそこに片手をついたまゝ、何か答へを待つやうに老医師の方を向いていた。その眼には何か訴へるやうな非難するやうな色が見えた。正文はふと気づいた。

    「へーえ」

    「えゝ、このたびこちらへ戻りまして、仲通りに開業しました高間房一ですが、つきましては一寸御挨拶に――」

    「ほう、ほんに!みんなある」

    練吉は眠気から覚めたやうに、

    河原町の人達は皆自家の仕事をはふり出して川に出ていた。彼等の悉くがこの時期には漁師になつたかのやうであつた。まるで諜しめし合せたやうに同じ麦藁の大きな帽子をかぶつて、白いシャツを着こみ、魚籠びくと追鮎箱とをガタつかせながら、めいめいの家の裏口から河原に現れるのだつた。

    今泉にはやつと徳次の考へていることが判つたので、熱心に説明した。

    「きさまか、鬼倉ちふのは」

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